親が亡くなり、実家を相続することになったけれど、誰も住む予定がない…。
最近、このような問い合わせが多いです。
「誰も住んでいない家は、とりあえずそのままにしておいたほうが固定資産税が安くなるって聞いたことがあるけど・・・」
相続した実家や不動産を放置しておくことは、想像以上に大きなリスクを伴います。
今回は、実家を相続した人が知っておくべき「空き家の放置によるリスク」と、その後の対応をわかりやすく解説していきます。
放置すると危険がいっぱい!空き家によって引き起こされるトラブル事例
「空き家問題」という言葉を知っていますか?
近年、メディアでも多く取り上げられている社会問題ですが、もう他人事ではありません。
空き家を放置することで、あなた自身はもちろん、周囲にまで様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
空き家の犯罪率が上昇する
空き家は、犯罪者にとって格好の標的です。
実際に、2018年に愛知県で発生した空き家殺人事件では、犯人が「空き家なら侵入しても気づかれないと思った」と供述しており、他にも、空き家の元住人が殺人事件を起こし、犯罪の温床になりやすいという実態が浮き彫りになりました。
家の倒壊や火災
適切なメンテナンスを行わなかったため、老朽化した空き家が倒壊し、通行人に怪我を負わせてしまうケースも発生しています。
2020年には、全国で約3,000件の建物火災が発生していますが、その中には放火や電気配線の老朽化による火災など、空き家であるがゆえに被害が拡大してしまうケースも少なくありません。
災害時の屋根材などの飛散
2019年の台風15号では、強風によって老朽化した空き家の屋根が剥がれ落ち、周囲の家屋や電線に被害が及ぶケースが相次ぎました。
このように、災害時に放置された空き家が被害を拡大させる可能性も決して無視できません。
害虫や雑草の繁殖
空き家は、害虫や雑草の温床になりやすく、放置しておくと近隣住民にまで被害が及ぶ可能性があります。
事例)
- 庭木の手入れを怠った結果
毛虫が大量発生→近隣住民の洗濯物に付着→その服を着た子供が被害→損害賠償請求を受ける - 雑草の種子が飛散
近隣住民の庭にまで繁殖→種を除去するための費用を請求される
ゴミの不法投棄などの犯罪被害に遭う
管理されていない空き家は、不法投棄のターゲットになりやすく、実際にゴミ処理費用を負担させられたというケースも報告されています。
近隣の不動産価値を下げる
朽ち果てた空き家は、街の景観を損ねるだけでなく、周囲の不動産価値を低下させてしまう可能性があります。
特定空き家に指定されると税金負担が急増
倒壊の危険性など、一定の条件を満たす空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がってしまう可能性があります。
また、更地の場合は固定資産税が跳ね上がり、年間約10万円の土地に家が建っているだけで約1万円に軽減される「小規模宅地等の特例」が適用されているケースもあります。
しかし、特定空き家に指定されると、この特例が適用されなくなり、固定資産税が年間約6万円に跳ね上がってしまうのです。
実家を相続した人がやるべきことチェックリスト
実家や不動産を相続したら、まずは以下のチェックリストを確認しましょう。
- 相続人の確定 :誰が相続人になるのか、遺言書の有無や相続人の範囲などを確認します。
◎専門家への相談が必要なケース:遺言書の内容が不明瞭な場合、相続人の中に未成年者や行方不明者がいる場合など
- 不動産の調査:不動産の所在地、広さ、築年数、権利関係などを確認します。
◎専門家への相談が必要なケース:価格や現状不動産が不明確な場合、境界線が不明瞭な場合、登記簿の内容と現状が異なる場合など
- 相続放棄するか検討:相続する不動産に多額の借金などの負債がある場合は、相続放棄を検討します。
◎専門家への相談が必要なケース:相続放棄の手続きについて詳しく知りたい場合、相続放棄の期限が迫っている場合など
- 売却・活用・解体の検討:相続した不動産を売却、活用、解体のいずれかによって処分することを検討します。
◎専門家への相談が必要なケース:それぞれのメリット・デメリットを比較検討したい場合、最適な売却方法や活用方法を知りたい場合など
- 管理方法の決定:相続した不動産を売却、活用、解体のいずれで処分する場合でも、それまでの間、適切な管理を行う必要があります。
◎専門家への相談が必要なケース:住んだことの無い建物やエリアの場合、セキュリティ対策を強化したい場合、建物の維持管理を専門業者に委託したい場合など
空き家の管理方法
空き家を放置すると、様々なリスクがあることを解説してきました。
「とはいえ、遠方に住んでいて頻繁に実家へ行くことができない…」
「仕事が忙しくて、空き家の管理まで手が回らない…」
そんな方もいるのではないでしょうか?
空き家を適切に管理するには、以下の2つの方法があります。
- 定期的な清掃・草刈り・換気・セキュリティ対策
可能な限り、家の中や庭の清掃、草刈り、換気を行いましょう。
また、窓やドアに鍵を交換したり、防犯カメラやセンサーライトを設置するなど、セキュリティ対策も必要です。ただ、最初の半年は行けても、継続して清掃などが出来ないのが現状です。
◎専門家への相談が必要なケース:定期的な清掃、草刈り、換気を行う場合、効果的なセキュリティシステムを導入したい場合など(多くは不動産会社が管理を行っています)
- 管理委託
不動産管理会社に管理を委託する方法です。
費用はかかりますが、定期的な巡回や清掃、セキュリティチェック、トラブル発生時の対応などを行ってくれます。一般的な金額としては賃料の5%~10%、広大な土地の場合はお見積りが必要になります。
◎専門家への相談が必要なケース:管理委託の内容や費用について詳しく知りたい場合、信頼できる不動産管理会社を選びたい場合など
空き家の活用方法
「空き家を放置しておくのは不安だけど、売却するのも気が引ける…」
そんな方は、空き家を有効活用してみてはいかがでしょうか?
ここでは、空き家の代表的な活用方法を6つご紹介します。
- 賃貸住宅
空き家を賃貸住宅として貸し出すことで、安定的な家賃収入を得ることができます。
◎専門家への相談が必要なケース:賃貸経営を始めるための手続きを知りたい場合、入居者募集や家賃管理を不動産会社に委託したい場合など
- 駐車場
土地の広さや周辺環境によっては、空き家を解体して駐車場にすることも有効な活用方法です。
◎専門家への相談が必要なケース:駐車場の借り手を見つける場合、駐車場の舗装工事やライン引きを専門業者に依頼したい場合など
- 民泊
近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、空き家を宿泊施設として貸し出す「民泊」が注目されています。メリット・デメリットあるので十分に気を付けて運営する必要があります。
◎専門家への相談が必要なケース:民泊経営を始めるための法律や届出について知りたい場合、民泊運営代行サービスを利用したい場合など
詳しくは、別の記事にてご紹介しておりますので、ご確認ください。
相続した不動産、眠らせていませんか?活用事例3選で賢く資産運用!
- アトリエ
絵を描いたり、彫刻をしたり、趣味の創作活動を行うスペースとして活用する方法です。
◎専門家への相談が必要なケース:アトリエとして利用するためのリフォームを検討する場合、防音対策や換気設備の設置を専門業者に依頼したい場合など
- 事務所
SOHOやスタートアップ企業など、小規模事業者の事務所として活用する方法です。
◎専門家への相談が必要なケース:事務所として利用するためのレイアウト変更や内装工事について相談したい場合、インターネット回線や電話回線の設置を検討する場合など
- 倉庫
近年、人気が出てきている種別「○○倉庫」です。通販事業者や個人事業主など、商品や資材の保管場所として活用するのが一般的ですが、カフェ倉庫、倉庫事務所など、幅広い用途としてかつようされています。
◎専門家への相談が必要なケース:正直、専門家に相談しないと難しいです。困ったら不動産会社に相談してみましょう。
空き家の売却時の注意点
空き家を売却する際には、以下の点に注意しましょう。
※瑕疵担保責任:売却後に、売主が知らなかった建物の瑕疵(欠陥)が見つかった場合、売主は買主に対して、修繕費用などを負担する責任があります。これも専門家に任せた方が良いでしょう。
瑕疵担保責任の免責、売却前に建物診断(ホームインスペクション)など、やることは様々です。
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今回は、実家を相続した人が知っておくべき「空き家の放置によるリスク」とその後の対応について解説しました。
「空き家問題」は、決して他人事ではありません。
相続した実家を放置しておくと、今回ご紹介したようなトラブルに発展し、あなただけでなく周囲の人々にも迷惑をかけてしまう可能性があります。
「相続したはいいものの、どんな手続きが必要かわからない…」
「空き家を売却したいけど、何から始めればいいかわからない…」
「空き家の活用方法について、誰かに相談したい…」
そんな時は、一人で抱え込まず、「賢者の相続」にご相談ください。
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